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アタシは2階の自分の部屋に上がると、 簡単に身支度を整えた。何しろ流れ者の身。 持ち物など本当に少ない。 さっきもらった報酬の金の入った皮袋ひとつと、 ほんの数着分の着替え。 それと、剣が一本であったから。 観念して迎えの馬車に乗り込む。 後ろからは読み通りに15人の騎士がぞろぞろ付いてくる。 こんな大げさは本気で勘弁して欲しかったが、 老騎士は平気そうだ。 ・・・慣れているのかも知れない。 この老騎士は、かなりな身分の持ち主なんだろう。 よく整備された道を通りながら、多分馬車は王宮への道を辿っていた。 老騎士は、ここでやっと名乗りを上げた。 「名乗りもせず、大変失礼致しました。 私の名は、ディラン。ディラン・カンタベリと申します。 以前は王宮騎士団の団長の名誉を皇王に頂いておりましたが、 今やその役目を孫に譲り、 皇女様方の教育係に任じられました。 皇女様は第一皇女ナーリ・リオン様。 そして、第二皇女ジーナ・リオン様で在らせられます。 わが国の他国とは違って不利な点は、 まさに双子しか生まれぬ東の国特有の点、にあると言えます。」 「2人いるのでどっちも狙われる、という事ですか?」 「さすがのご慧眼でございます。」 それきり、ディランは黙ってしまった。 かなり普段は言葉の少ない性質らしい。 この老人に教育されている皇女達にちょっと同情したくなった。 ヒントだけ出すから、答えは自分で導き出せ、という教育方針らしい。 「2人いれば、自然守りもどうしても薄くなる。 結界といえど、核が二つあればどうしても綻びは出る、という事ですね?」 「ご明察通りでございます。何度かは襲撃を跳ね除けたのですが、 その度に結界を破られましてな。 破られれば、その力は作った方に跳ね返ってくるものでございましょう? 私などは魔術の力などございませんのでよくは知らないのですが。 結界破りの度に魔術師が命を落としたり、 廃人にされたりで、もはやわが国には、 まともな結界を晴れる魔術師がいなくなってしまった所でございます。」 そこに渡りに船とばかりに漆黒のアイラ出現とあらば、 逃がすつもりなど無いだろうな。 ・・・そんな担ぎ出されるほど、「私」などちゃんと修行を積んだ、 一人前の魔術師でもないんだけどな。 「アタシも城に呼んだ理由は?アイラ呼び出す為ですか?」 「お恥ずかしき話なのですが、わが国にはまともな剣士がいない有様でして。」 「お、お孫さんが王宮騎士団の団長だと・・・?」 「恥ずかしき限りでございます。腕はそう悪くは無いのですが、 何しろ性格がちょっと浮ついておりまして。 まともな鍛錬をこなしてないのじゃないかと思われましてな。 何しろアレの父親が学者風情などで。いや、娘達しか私には生まれなかったので。 ・・・しゃべりすぎましたな。申し訳ございません。 ・・・こんな有様ですので、守りの上でも、かなり不安でございました。」 ・・・どうやら、全ては自分を基準においてあるらしい。 老いたりとは言え、ディランから発する気概はかなりなものがある。 ディランが若い時分は剣士として名をはせていたのだろう。 そのディランがアタシにはずっと敬語で話しているし、 アタシはお眼鏡にかなったのかな? 王宮騎士団にとってアタシは目の上のたんこぶだろうし、 ・・・これは会うのがかなり怖いかな? 生きるために必死だっただけで、アタシだってまともな剣士ではないんだけどな・・・ ここまで聞いていて、肝心な襲撃の内容と、頻度を聞いていなかった。 その旨を告げると、どうもあいまいな返事が返ってきた。 |
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