|
強大な妖魔と恐れられしものは、
気が付いたら自分の巣にいた。 何かがおかしいと感じる。 自分を阻むものなど、この世に存在しない。 自分以上に力溢れた存在など、 上位の神仙しかいない。 故にこの世に自分をくくるものなどいないはずだった。 なのに、何かを忘れている。 それは、ふと考えを巡らせる。 空腹を覚えれば、狩り、 興味が沸けば世界を巡る。 自分が今までやった事はそれが全てだった。 今までも、そしてこれからも。 しかし何かを忘れている。 自分は何かを待っている。 何かが自分を呼ぶのを待っている。 それが何なのかはどうしても思い出せなかったが、 何故か、不快では無かった。 自分は待っているから、 早く自分を呼ぶがいい。 強大な妖魔にして、 しかし高位の神に直接浄化されたが為に、 もはや元の妖魔とは言えなくなったものは、 その神から記憶を封じられて、 元の巣穴に戻った。 しかし高位の神とて一度麒麟と契約を交わして 変化してしまった本質までは変える事が出来なかった。 その妖魔を饕餮と言い、 名を傲濫と言う。 自分が認めた小さな鋼色の獣が、 自分を呼ぶのをまどろみながら、待っている。 |