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十二国記SS

まどろみ

強大な妖魔と恐れられしものは、
気が付いたら自分の巣にいた。
何かがおかしいと感じる。
自分を阻むものなど、この世に存在しない。
自分以上に力溢れた存在など、
上位の神仙しかいない。
故にこの世に自分をくくるものなどいないはずだった。
なのに、何かを忘れている。

それは、ふと考えを巡らせる。
空腹を覚えれば、狩り、
興味が沸けば世界を巡る。
自分が今までやった事はそれが全てだった。
今までも、そしてこれからも。

しかし何かを忘れている。
自分は何かを待っている。
何かが自分を呼ぶのを待っている。
それが何なのかはどうしても思い出せなかったが、
何故か、不快では無かった。
自分は待っているから、
早く自分を呼ぶがいい。

強大な妖魔にして、
しかし高位の神に直接浄化されたが為に、
もはや元の妖魔とは言えなくなったものは、
その神から記憶を封じられて、
元の巣穴に戻った。
しかし高位の神とて一度麒麟と契約を交わして
変化してしまった本質までは変える事が出来なかった。
その妖魔を饕餮と言い、
名を傲濫と言う。

自分が認めた小さな鋼色の獣が、
自分を呼ぶのをまどろみながら、待っている。

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