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最初は降り始めた雨だれのような、ポツリ・・・ポツリとしたものだった。 思念波、呪いといった様なものではなく、 感情の波だった。 自分を認めて欲しい。 最初は呟きだった。 次第に感情の波は高ぶり、 津波のように押し寄せてきた。 私は王宮の中心に当たるこの謁見の間を核として、 王宮全体に結界を張っていたが、 結界を強化する為、襲撃が始まった時から、 力を送り続けていた。 その結界に感情の波がぶつかっては、散っていく。 寄せては返すさざ波の様な、 そして津波の様な激しい感情の群れを防ぎながら、 私は、泣いていた。 ・・・知っている。 私はこの感情を知っている。 私を生んだ世界。 私を認めない世界。 全身で世界を拒否しながら、それでも認められたい。 ただ、愛して欲しい。 私は私でいいんだと、言って欲しい。 全ての人々に。 全ての生き物に。 ・・・この、世界に。 血を吐く様な、心の底から、込み上げる様な感情が 怒りや恐れとなって今私の結界にぶつかっては、 散っていく。 時折結界を越えて思念が届く。 それは、私の結界が破られたと言う事ではなく、 むしろ私の結界が共感した為に発生した現象の様だ。 越えて届く感情はもろく、 ちょっと力を込めるだけで砕ける。 ちりじりに念入りに砕きながら、私自身も共感し、 迎合していく気がした。 砕かれた思念はやがて空間に満ち、 それに共感する者を呼び覚ます。 すでに忘れ去られた無念の者。 これこそが死者達を甦らせる原因だったのだ。 しかし、ここは王宮。 穢れた死者など存在はしない。 しかし、新たな脅威となって襲い掛かろうとしていた。 中庭の花に群がっていた虫達や、 土中の蟲達が意思を持ってナーリ達に襲いかかろうとしていた。 「やだぁ!!」 ジーナが叫んだ。 虫は女の子にとって、生理的にだめなものだ。 羽虫も嫌なものだが、 土中の蟲など最たるものだ。 蟲には責任は無いけど、どうもぶよぶよした身体は、 私だって勘弁してもらいたい。 だけどなんとなく責任を感じて、 虫たちを撃退する羽目になった。 襲い掛かってきた蟲たちを跳ね上げながら、 今日の夢見はまずそうだ、等とちょっと考えてしまう。 騎士団はとふと振り返ってみると、 無駄なのに、長剣を振り回して見たり、 手足をばたつかせるばかりであんまり役に立っていない。 エイブは嫌がるジーナを抱きしめていた。 |
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